2012.11.16
パニック障害の治療と重症度判定
「パニック発作が1回起こってもパニック障害とは限らない」と以前にも簡易診断の問題点を書きましたが、今回は実際の治療内容と重症度判定について書きたいと思います。「パニック障害」あるいは「パニック障害を伴う広場恐怖症」と精神科専門医に診断された場合はご本人の治療同意が得られれば薬物療法が治療の第一選択となります。パニック発作の根治療法にはSSRIによる計画的な薬物療法が行われ一定期間の内服と定期外来通院を継続することで発作が再燃するリスクは低くなります。SSRIの不安障害に対する保険適応が認可される前は抗不安薬の対症療法が漫然と行われて内服期間も治療寛解の有無もケースバイケースでしたが、現在は根治療法が確立しているのでそのリスクは少ないと言えるでしょう。ただしあくまでもSSRIによる薬物療法は不安発作の除去であって「パニック障害を伴う広場恐怖症」の場合の苦手環境(満員電車等)で発生する予期不安(また起こったらどうしようという不安)は行動療法(暴露訓練・エクスポージャー)を併用しないと症状は改善しません。つまり予期不安もきちんと除去するためには日常起こった出来事を定期外来通院の精神療法で毎回適宜医師にフィードバックしていく必要があります。またもう一歩踏み込んで認知行動療法(CBT)を併用すればさらに治療効果は上がりますが、これは当院では保険外対応となるため、医師が実施可能と判断し患者さんが希望する場合のみカウンセラーが別途実施しています。最後に当院では初診時にパニック発作の重症度判定検査(保険診療内であれば無料)を他の心理検査(一部保険適応)と併行して実施しています。もちろん国際標準の検査であり初診時にパニック発作の重症度を見極めるだけではなく治療経過や寛解時にも症状の改善程度が客観的に判断できるので患者さんにとっても有用性が高いです。現代の精神医学的に確立された診断や治療できちんと受けて症状の改善具合をご自身で客観的に把握されることは非常に重要なことであると思います。
メンタルヘルス田井クリニック www.taiclinic.com