2010.9.29
長時間労働者への産業医の面接指導制度
過重労働によって健康障害(脳血管障害や虚血性心疾患やメンタルヘルス不調)や過労死のリスクが高まることから、「労働安全衛生法」により「長時間労働者への医師(産業医)の面接指導」が産業医のいる従業員50人以上の事業場では平成18年4月1日から義務化され、産業医不在の従業員50人未満の事業場でも平成20年4月1日から義務化されました。具体的には時間外勤務や休日勤務の合計が月100時間を超えており疲労の蓄積がみられ労働者本人から面接指導の申し出があった場合に事業場は産業医に面接させる「法的義務」があるということです。また同様に時間外勤務や休日勤務の合計が月80時間を超えており疲労の蓄積がみられ労働者本人から面接指導の申し出があった場合、あるいは事業場であらかじめ定めた過重労働時間の基準を超えた場合は事業場は産業医に面接させる「努力義務」があります。この産業医面接で業務軽減措置が必要と判断された場合は産業医から事業場の衛生委員会や人事労務担当者に産業医からの業務軽減措置が行われることがあります。このように労働者の過重労働を軽減する制度が法的に確立しておりますが、昨今の不景気や企業の経営状態の悪化から事業場の社員全体が慢性的に過重労働環境であり自分だけ職場に言い出しにくい現実問題もあります。産業医不在の従業員50人未満の事業場では産業医は不在ですので職場の上司や人事労務担当者や経営者本人に相談することになるのでこの場合もなかなか職場には相談しづらい状況があります。現実的に過重労働が原因でメンタル不全を発症した場合にはご自身で心療内科や精神科を探されて受診し適切な診断を得て実際に治療を開始し症状を軽減させるだけではなくご自身が職場に受診開始報告をすることで結果的に事業場の過重労働が軽減される場合もあります。実際に個々のケースで対応が異なりますので心療内科の主治医と相談した上でご自身で対応策を決めていくことになります。