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2012年 のアーカイブ

何らかの理由でうつ状態になり出勤や勤務が困難になった場合に精神科や心療内科に受診して精神科専門医から休職判定を受けます。もし休職の必要があると判定された場合は自宅静養しながら精神療法や薬物療法を開始しますが、その後生活リズム療法も開始し心身能力の回復と生活全般の自己管理が可能になったら復職リハビリを開始します。復職リハビリは復職後の再休職を防ぐためのトレーニングで復帰前の準備として必要不可欠なものです。その後設定されたリハビリ目標を達成したら復職判定検査に向かいます。これはうつ状態の認知機能検査や社会復帰評価尺度の国際標準検査であり休職者が復帰する前には施行すべきものです。さらに再発予防上重要なのは疾患の発症原因を分析し再発予防対策を事前に行っておくことです。これを怠ると復帰しても再休職のリスクは高まります。主な原因分類としては①職場環境問題 ②家庭環境問題 ③個人特性問題 ④疾患特性問題 ⑤生活習慣問題 ⑥加齢現象問題があり、初診時からこれらの有無を詳細に確認し事前に対策を講じておくことが再休職を防止する要となると考えます。

メンタルヘルス田井クリニック 田井 良輔  http://www.taiclinic.com

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平成24年11月25日に埼玉県精神神経科診療所協会市民講座「働く人のメンタルヘルス ~復職をめぐって~」というイベントに参加させていただき、「シンポジウム 精神科主治医の立場から」という内容で講演させていただきました。主に事業場の人事労務担当者や産業保健スタッフの方々を対象にしたイベントでしたが、イベントは盛況に終了し私自身も参加して非常に勉強になりました。今後も産業メンタルヘルスに関して日々精進し治療現場の診療内容に生かしていければと考えています。

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「パニック発作が1回起こってもパニック障害とは限らない」と以前にも簡易診断の問題点を書きましたが、今回は実際の治療内容と重症度判定について書きたいと思います。「パニック障害」あるいは「パニック障害を伴う広場恐怖症」と精神科専門医に診断された場合はご本人の治療同意が得られれば薬物療法が治療の第一選択となります。パニック発作の根治療法にはSSRIによる計画的な薬物療法が行われ一定期間の内服と定期外来通院を継続することで発作が再燃するリスクは低くなります。SSRIの不安障害に対する保険適応が認可される前は抗不安薬の対症療法が漫然と行われて内服期間も治療寛解の有無もケースバイケースでしたが、現在は根治療法が確立しているのでそのリスクは少ないと言えるでしょう。ただしあくまでもSSRIによる薬物療法は不安発作の除去であって「パニック障害を伴う広場恐怖症」の場合の苦手環境(満員電車等)で発生する予期不安(また起こったらどうしようという不安)は行動療法(暴露訓練・エクスポージャー)を併用しないと症状は改善しません。つまり予期不安もきちんと除去するためには日常起こった出来事を定期外来通院の精神療法で毎回適宜医師にフィードバックしていく必要があります。またもう一歩踏み込んで認知行動療法(CBT)を併用すればさらに治療効果は上がりますが、これは当院では保険外対応となるため、医師が実施可能と判断し患者さんが希望する場合のみカウンセラーが別途実施しています。最後に当院では初診時にパニック発作の重症度判定検査(保険診療内であれば無料)を他の心理検査(一部保険適応)と併行して実施しています。もちろん国際標準の検査であり初診時にパニック発作の重症度を見極めるだけではなく治療経過や寛解時にも症状の改善程度が客観的に判断できるので患者さんにとっても有用性が高いです。現代の精神医学的に確立された診断や治療できちんと受けて症状の改善具合をご自身で客観的に把握されることは非常に重要なことであると思います。

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このたび日本産業精神保健学会の専門職の認定をされました。当学会は日本国内の産業精神保健領域の基幹となる学術団体で以前から会員ではございましたが、このたび学会の専門職(専門医)の資格を得ましたのでご報告させていただきます。今後も埼玉県やさいたま市の地域における産業精神保健領域(事業場におけるメンタルヘルス問題や就労者のメンタル不全に関わる診療全般)のさらなる発展に貢献できるように頑張りますのでどうかよろしくお願いいたします。

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職場のストレスでメンタル不全を発症した場合、メンタルクリニックの薬物療法や精神療法で症状を緩和させることも重要ですが、根本的な症状改善と再発予防を行うためには「職場環境調整」を行うことが必要です。具体的には自分を労務管理している所属長にまず相談しストレスの原因とメンタル不全の状況(通院有無も含む)を伝えます。(所属長との対人ストレスが発症原因で所属長に直接相談できない場合はさらに上の上長に相談します)産業保健スタッフ(産業医、保健師、カウンセラー)が配備されている事業場に勤務している場合は所属長から人事の担当者を経由して産業保健スタッフと面談し問題解決を具体的に検討していきます。本社も含めて産業保健スタッフの配備がない事業場に勤務している場合は、事業場が社外のEAP機関(外部相談機関)と契約していれば、これを活用し問題を相談しますが、外部EAP契約がない場合は所属長やその上長との相談のみになります。相談する上で大切なことは個人情報を保護してもらい相談者本人に不利益がないように配慮してもらうことです。相談の上で精神科専門医の診断の必要性がある、または何らかの精神症状(不眠、不安、うつ等)があり、症状緩和の治療を希望する場合はメンタルクリニックに受診を勧められる場合もあるでしょう。いずれにしてもひとりで抱え込まずにしかるべき相談相手にきちんと相談して今後の問題解決策を練ることが改善に繋がります。

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精神科外来診療では初診時に問診による病歴、過去の精神科治療歴、身体疾患や嗜好品の既往歴、家族歴、幼少期からの生活歴や家族関係等の情報を聴取し、国際的な診断基準を基にして主治医の過去の経験や知識を総動員して身体疾患を含めた除外診断を的確に行うことで精神科診断が確定するわけですが、診断名に終始せずご本人の性格傾向、症状や疾患の特徴や重症度をさらに明確化してひとりひとりの治療方針に生かし再発予防対策を行う目的で各種心理検査を行います。その方の症状や病歴に合わせて必要な検査を組み合わせて実施することを「テストバッテリーを組む」と言います。当院では問診に加えてこれを実施しひとりひとりの診断や治療の精度を高めるように常に工夫して努力しています。

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埼玉県職員健康相談医(埼玉県嘱託産業医)と埼玉県職員健康審査会委員はかつてから埼玉県より拝命して埼玉県職員のメンタル不全の相談業務やリハビリ出勤判定や休職復職判定の業務を行って参りましたが、このたびさいたま市役所本庁舎産業医をさいたま市長より委嘱されました。今後は埼玉県職員のメンタルヘルス業務に加えてさいたま市職員の健康増進やメンタルヘルス業務を遂行することとなり、公務員の心身健康増進から間接的に地域に在住される埼玉県民やさいたま市民の生活の安定と向上に貢献できればと思います。私自身も産業医の知識や経験をさらに蓄積し当院に受診されるメンタル不全の就労者の方々の診断治療や復職支援のレベルアップ、職場の人事労務担当者や産業医や産業保健スタッフの皆様との連携の充実が得られるように自己研鑽し日々精進していく所存です。

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