2011.4.12
「あがり症」は性格の問題???
学生時代に授業中に国語の朗読や音楽の独唱をしーんとした教室で先生や同級生が耳を澄ます中で行ったことはありますか?元々目立ちたがり屋や社交的な性格で喜び勇んでうまく出来た方もいらっしゃると思いますが、先生に急に指されて緊張しすぎたり胸がドキドキしたり手足がふるえて声がうわずってしまい非常に恥ずかしい思いをした方もいらっしゃると思います。このような失敗体験も「学生時代の淡い想い出」になっていれば良いのですが、その後も人前での発言機会で緊張がひどく職場や学校で日々困っている方がいらっしゃると思います。「自分はもともと気が弱いんだ・・・」と性格の問題にしている方もいますが、苦手意識を持つ好まない状況での言動の緊張感は誰にでもあるものです(正常反応)。ただし苦手な環境下で手足がぶるぶる震える、声が震えてうまく発言できない、心臓がバクバクして頭が真っ白になる・・・このような強い緊張感やパニック症状を呈する場合は「社会不安障害(対人緊張症)」を疑う必要があります。この場合は「性格の問題」ではなく「大脳扁桃体(人間の不安や恐怖をつかさどる中枢)の過敏状態」を呈していて、失敗体験や恐怖体験をきっかけに苦手な状況下に遭遇すると簡単にパチンとスイッチが入り自律神経発作が起こるようになってしまったのです。これは「脳の代謝異常の病気」です。また職場で電話を受けることが出来ない、人前で字を書くと手が震えてしまい困る(書痙)、喫茶店やレストランでコーヒーカップを持つと手が震えてコーヒーをこぼしてしまう・・・健康な人から見たらまさか?と思うような症状ですが、これらの症状をお持ちの方も同様に非常につらくて日々の生活にとても悩んでいます。心療内科の受診には抵抗があるかもしれませんが、病気や治療の内容をわかりやすく説明してくれる精神科専門医に受診されることをお勧めいたします。