2011.4.26
就労者がメンタル不全で休職するということ
就労者が何らかの理由でメンタル不全に陥ってしまい生活上の苦痛や勤務における苦痛を抱えたことで本来の健康な心身状態を維持できず心療内科や精神科を受診することが多いと思います。この中で外来受診から休職に至るケースは精神科主治医から見て精神医学的に勤務継続が困難であると判定した場合ですが、必ずしもすべての患者さんが最初から休職したいと思っているわけではありません。自己限界まで努力されてこれ以上頑張れないという状態で受診された患者さんが自ら休職を希望されてもこれは決して恥ずかしいことではありません。また一方で自己限界のメンタル不全に陥っても休職は出来ない、職場に迷惑がかかる、家族に申し訳が立たないと自責感にとらわれて自ら休職を希望されない場合もあり、この判断が正しいのかどうかは疑問です。どちらのケースであっても重要な点は「心身健康な状態をできるだけ早期に取り戻し再び元気に勤務が出来る状態に戻すこと」が治療上最優先であるということです。もちろん休職せずとも薬物療法と精神療法を行い症状が軽減緩和して勤務継続が可能な状態であれば休職する必要はありませんが、勤務継続が困難な状態であれば迅速に休職して自宅静養しながら通院加療や復職リハビリを行う必要があります。決してひとりで悩むことなくご家族や職場の上司や労務担当者や産業医や産業保健スタッフに相談されて、ご自身の勤務限界を感じる前に出来るだけ早期に症状がまだ軽微なうちに精神科医療機関を受診すべきであると思います。